Pioneers
先駆者インタビュー

  • Pioneer (04)
  • グローバル技術開発統括本部 技術開発本部
    ハード開発統括グループ 第1ハード設計部 5課
  • 小池 遥

パイオニアの音と
自分なりの音が重なるところに、
きっと感動体験が待っている。

車内の音を整え、鳥肌ものの感動を届けたい

現在、カーオーディオの音を調整し、車内の音響体験をつくる仕事をしています。カーオーディオをお客さまに提供するまでには、設計、開発、音のチューニングなど、たくさんのプロセスがあります。私が担当しているのは最後のチューニングの部分です。最高の状態でお客さまに音をお届けするために、日々音づくりと向き合っています。

スピーカーが同じであれば、音はそこまで変わらないのではないか。そう思われるかもしれませんが、チューニングによって音は驚くほど変わります。パイオニアには、音の生々しさや心地よさなど「パイオニアらしい音」があります。そのパイオニアの音と、車のコンセプトがバチっとハマったとき、感動的な音体験が生まれるのです。

私が初めてそれを体感したのは、先輩がチューニングをした音を聴いたときでした。その音を聴いた瞬間、思わず「おお...」という感嘆の声が漏れてしまいました。パイオニアらしい音であることはもちろん、車のコンセプトに合った音、全てが調和されたプロの技を目の当たりにし、鳥肌が止まりませんでした。私の中で目標とする音ができた瞬間でした。

車という特殊な空間
正解が見えないのが、音づくりの難しさ

サウンドのチューニングは、DJのような華やかさはなく地味な作業がほとんどです。開発中の車に乗り込み、最初に収音マイクで音響データを測定します。その車の特性を理解した上で、実際の聴こえ方とデータを紐づけながら、いろんな角度から分析し、データと自分の耳を駆使しながら音のパラメータを調整していく仕事です。

そして、車室内サウンドのチューニングにはなんといっても“車だからこその難しさ”があります。ホームオーディオなどの音づくりと異なり、自動車というのは特殊な空間です。車室空間ではスピーカーの音が左右対象に届かなかったり、スピーカーが足元にあったりすることが多いので、直接音が届かず反射影響が大きいなど、オーディオ再生にとって良い環境ではありません。また、外からの雑音もあれば、エンジン音なども車内に響きますし、音だけに集中してもらうのではなく安全に走行できることも重要です。それだけでなく、ファミリーカー向けなのかラグジュアリーカー向けなのか、自動車メーカーの開発趣旨や要望を聞きながら、最適な音を導き出していく必要があります。

また、音というのは感覚に左右されるものなので、どんな音を「良い音」とするか、コンセプトの設定も大切です。ときには自動車メーカーの担当者が 「どんな感動を求めているのか」 を掴むために粘り強く会話をすることもあります。お客さまの意図を分かった気にならず、ニーズを拾って要望に応えつつ、自身の想いも重ねて提案していくことで、双方共に感動できる車室空間を仕立てていきます。

はんだ付けから、プログラミングまで
全ての経験が、音づくりに活きてくる

音が好きな方であれば、誰でもサウンドエンジニアになる素質があると思います。ですがチューニング中、目の前で起こっている事象に対し、原因がハード側にあるのかソフト側にあるのか、各分野の専門的な知識や経験が必要です。

例えば、大学で研究していた聴覚情報処理の知識が音域調整の役に立ったり、入社後の研修で学んだプログラミング知識がデータ解析に活かせたりしています。チューニング以外の業務で行ったはんだ付けや試作品の作成など、これまで経験してきたことで無駄なことは一切無く、今の音づくりに繋がっていると感じています。

パイオニアは、自分がやりたいこと、興味があること、それを突き詰めたいという声に、しっかりと耳を傾けてくれる会社だと思います。未知の領域に挑戦することで、自分が思い描いていた以上に成長することができます。少しでもパイオニアに興味を持ってくれた方がいれば、ぜひチャレンジして欲しいなと思います。

MY DREAM

「自分なりの音」を探求し、音のスペシャリストになる。

私には、音のスペシャリストとして尊敬している先輩がいます。
その先輩がつくる音は、パイオニアらしい音、車のコンセプトにハマっている音を高い精度で表現していて、音を聴いたとき、「パイオニアの音だ」と感じると同時に鳥肌ものの感動を受けるんですよね。

今の私は、「パイオニアらしい音」を理解しつつあるものの、自由自在に音を表現する領域にはまだ届いていません。自分が、開放感のある音が好きなのか包まれるような音が好きなのか、硬い音と柔らかい音どちらが好きなのか、低音と高音のどんなバランスが心地いいのかなども、まだ探っているところです。自分の好きな音が見つかると、また一歩前進できるような気がしています。

音という感覚的なものを言語化し、自在に表現できるようになるため、普段から、車での音の試聴を心掛けています。自分の車をチューニングしてみたり、他の車に乗るときにまず音を聴いてみたり、この車はどういう音なのか、どういうコンセプトで作られたのか、良い音と感じるかイマイチと感じるか、車室内の音に対して貪欲に学び続けています。

パイオニアらしい音、その車に合った音、自分らしい音。これら3つが重なり合った音をつくり出せるスペシャリストになることが、今の私の目標です。